映画を観る」のは・・・
映画館にいくのが久しぶりだった。
コロナ騒動が昨年春先にはじまってからは映画は観ていなかった。
わざわざ映画館にいくきっかけになったのは「アメリカン・ユートピア」を観たという友人のLINEメールだった。
「今、デヴィット・バーンのアメリカンユートピアを横浜のミニ映画館で観てきた。(中略)未来への希望が自然に湧いてくる。裸足で自らダンスもしながら2時間近く歌う。その心は今の世の中の変革へのマインドに根差す。駅のそばのカフェで余韻に浸ってる」
この短文メールが妙に心に残ってしまい、「僕も観にいこう」とその時決めた。
キノシネマ天神へ
聞いたこともない映画館名だった。
調べたら中央区警固というところにある。
1年前に開館した映画館で3スクリーンあるそうだ。
Google地図を頼りに、狭い自販機しかないようなさびれた路地を歩いていくと白い近代的な建物がひっそりたたずんでいた。
その3階にキメシネマ天神はあった。
映画というよりかライブだった
デヴィット・バーンという69才の男が100分間以上、歌いしゃべり踊り演奏するのだ。
それも裸足で。
歌がうまいのだ!
おしゃべりが実に味があるのだ。
そして一見園児のお遊戯会のようなダンスがお洒落なんだ。
さらにはギターや太鼓なども演奏する姿が実にチャーミングなんだ。
再び先の友人からのLINEメールを引用する。
「ロックとかフォークとか・・・今まで趣味の分野での、誰のメロデイーがいいとかギターがいいとか というのを超越した、芸術というか、生きてるそのものというか、3才上の男が気をてらう事もなく純粋にやり続けてることに感服!トランプに対する反対が根っこにあって、言いたいことを堂々と自然に言ってる」
同感だと思った。
映画館で同じようなことを思って見ていた。
30分過ぎたあたりから、このライブパフォーマンスを1200円で観ていいの?安すぎじゃねえ?生ライブじゃなくても5000円くらい払っても誰も文句言わないなどと感じていた。
後半になると靴で床を踏んでリズムがはじまり、拳や腕や首が自然に音楽のリズムにのりだしてきた。
で、1曲が終わるたびに拍手をしていた。
座席は前から3列目だったのでまわりは気にせず自分なりの楽しみ方で「アメリカン・ユートピア」を観賞堪能した。
観客たち
映画のなかでは観客たちの興奮した姿も映し出され、スタンデイングオーベションしたり拳をふりあげたり、自由に感動を表現していた。
うらやましかった。
ミニ映画館の3列目の座席でひとり立ち上がってスタンデイングオーベションする度胸はなかったが、気持ちはあの観客たちと同じだった。
映画の最後は、出演者たちが普段着に着替えて自転車にのって帰る姿がうつるのだが、これがまたおしゃれなシーンだった。
余韻に浸りながら松島で鳳凛(ほうりん)ラーメンを食べて帰ってきた。
おしまい。