好きなこといろいろ

駄句も句なり②

2024年4月「春の暮」「木蓮」「朧月」「蛙」「春の霜」「春雨」「さへづり」「行く春」

拍子木の霞し夜の朧月

祖母のゆく足元照らせ朧月

朧夜の母の後ろを歩きけり

もう一度母におぶられ朧月

よるべなしふるさととなり夕蛙

墓じまい更地の隅に昼蛙

名水の岩になりきる河鹿かな

生まれきて泰然とゆく春の暮

燻製の香り漏れるや春の暮

春の暮一人静も舞ひ終へし

一日中草取りをして春の暮

紫木蓮咲いたところがふるさとか

南風膨らむ蕾紫木蓮

見渡せば谷間の村や春の霜

薬屋の角を折れるや春の霜

春雨に誘はれてみる森の径

きのうけふ春雨子守唄がわり

春雨や傘も電話も折り畳み

やおろずを拝む背中でさへづれり

囀りを聞きつつ座り水を飲む

春を雨にして囀り遠のく

さへづつてさへづつて生きむとす

ゆく春や本は机に読まぬまま

人は人われはわれとて春惜しむ

2024 年5月「松落葉」「筍飯」「卯浪」「新緑」「囀り」「薫風」「薔薇」「桐の花」

キラキラと水に沈みし松落葉

補聴器の電池なくなり五月逝く

このままでなるよふにならむ散松葉

松落葉潮風薫り波の音

散落葉掃いて集めて燃やされて

日本海浮かぶ小島に卯浪打つ

一波ずつ自己紹介する卯浪かな

ひとつ又ひとつ砕けて卯浪かな

石斛の花びらに見ゆ卯浪かな

白き薔薇並んで撮った祖父と母

大嶺やなだらき尾根は棘地獄

風薫る諸々たちと別れゆく

新緑に背中押されて書く手紙

青春を過ぎて新緑鮮やかに

カーテンを開ければ眩し五月の日

2024年6月「梅雨」「射干の花」「時鳥」「短夜」「琵琶」「葵」

光る梅雨気の合う人と歩く杜

青梅と思ひ出漬けし雨の土間

梅天や草を刈る人汗ぬぐふ

花著莪の白紫のつづら坂

湯あがりを迎えてくれしの著莪の群れ

一日で終わるいのちや著莪の花

群生で並びし著莪の七曲り

ここそこと淡紫青色著莪の花

二十もの表記を得たりホトトギス

今生の短夜ひとつまたくぐる

短夜の戸の割れ目から射す朝陽

明易の東北の旅顔洗ふ

明易の艶かき光丘の上

ふるさとの方を見ている立葵

弟が兄の髪刈る立葵

せせらぎに聞き耳立てて花葵

立葵母が背を曲げ水を汲む

梅雨葵蛙どこからともなく

口あけて黴雨の朝の洗濯機

髭剃りの刃替え梅雨をのりこゆる

水音の先に花著莪咲き誇る

小指には触れない琵琶の重さかな

この傷も黒子の痕もわたしです

転がれば琵琶の黒痣隠れけり

乳首かな二つの琵琶を並べ見る

 

 

 

 

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コックン

2014年12月(当時59歳)に近場の低山歩きを始めた。 これから山歩き(登山)をはじめようと思っている方や福岡県内の里山や無名山に興味関心がある方々向けて情報発信したいと考えている。 福岡県の低山・里山・無名山以外にも駅舎や神社、コミュニティーバスなども好きである。

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