下山を始める時の気持ち
城ノ越山北峰山頂を写真に撮り、挨拶して下山を始める時の気持ちを記録しておく。
- 急いで戻らなくちゃ
- 暗くなってきたし雨足が強くなってきた(やや不安)
- とにかく「道」を進めば何とかなる
まさかその道先が来た方角と真反対であるとも気づかず。
YAMAP地図には軌跡が記録されてるわけだから、なぜ下山を始める時に確認をしなかったのか、今更ながらに反省してもしきれない。
しかし、事実は確認せず(しようという発想も持たなかった)、逆方向に進むわけである。
自分では落ち着いているつもりだったが、すでに「異常」が内面で起きていたんだと思う。
異常を異常と感じなくさせるのがその環境(この時は暗さと雨)である。
異常な行動には更なる異常事態が発生し、パニックという超異常事態を招くこととなる。
転落するまでの記憶
「道」を進めば何とかなる!それが正直な気持ちだった。
「道らしき」道をとにかく下山していった。
方角は勘(間違った勘)で進んだ。
「来た道と少し違うな」と頭が感知した瞬間があったが、「急坂」「雨足の強さ」「暗闇」が立ち止まることをさせなかった。
いや、そこで立ち止まり、YAMAP地図で確認してさえすれば、遭難事故にはなっていなかったかもしれない。
しかし、暗くなる前に、雨足が強くならないうちに下山しよう!という気持ちで急いで下山をした。
※城ノ越山北峰から南峰までは5分もかからない距離なのだが、南峰にいくんは登りがある。しかし、登ったという記憶はない。
南峰山頂を過ぎてさらに東に向かっている。
そして、転落をする。
転落するときの気持ち
かなりの急坂だった。(今はその転落場所も確認しているからわかるが、ま、普通の急坂というよりか「崖」にかぎりなく近い。
そういう場所を通っているという意識はなく、とにかく滑らないように注意しばがらの下山だった。
一本の竹か木かおぼえがない。
支えとして掴んだ竹か木がポキンと折れると同時に・・・
体ごと何もない空間に落ちていき
まるでスローモーションのように・・・
次の瞬間
頭から前転がはじまった。
学校のマット運動で連続前回りをしたことを思い出した。
自分でうまく回転するとか工夫はいらない。
転落しているのだから。
転落しながら「ああ~回っている~落ちている~」と感じながらニヤリと笑ったことを憶えている。
自分の力ではどうにもならない時空間では人間は恐怖に怯えるよりも「笑う」のかもしれない。
転落終了後
何回転回って落ちて行ったか回数はわからない。
最低3回、もしかすると5回、いや8回・・・
「ドン!」と何かにぶつかって回転転落は止まった。
「痛てえ!」
誰もいない一人なのに声を出して叫んだ。
ここからの細かい活動を整理しておく。
- 痛さがやわらぐまで座りこんで痛さに耐える
- 手足体の状態(歩けるかどうか)確かめる
- 落ち着くためにザックをおろして水分補給
- まわりを見渡すとボヤケていることから眼鏡がないことに気づく
- 失くした眼鏡と帽子をさがして落ちてきた坂を登ろうと努めるがまったく登れない
- 眼鏡と帽子を諦めて戻ることにする
- 自宅に電話をする(まだこの時点では自力で帰るつもりだから「少し遅くなる」とだけ伝える)
- YAMAP地図で現在地を確認してびっくりする(帰る方向と逆ということよりも、三日月湖の真上にいることに驚く)
- 三日月湖の上にいるということから、上に登ろうと歩きはじめた
- かなり登ったつもりであるが、ものすごく厳しい坂だった(実際に後年、パパはつらいよさんに導かれてその坂をセイオさんと一緒に登ったが、昼間でも困難極める坂だった)ので、このまま向かっても十三仏ルート登山口に駐車している車まで戻れる自信がない!と思って雨が少しでもあたらないところ、座ってみて安定してるところで座りこんだ)