登山関係の本や雑誌も年数がたてば古くなる。
山という自然は年々変化している。
よって古い本や雑誌の山ガイド的な本は参考にはなるが、最近のではないという不安がある。
それに対してSNS情報は直近の山の様子がわかり、「今はこんな感じなんだ」と安心できる。
僕はYAMAPという登山アプリを7年間使っている。
実に便利で助かるアプリであるが、YAMAPアプリでの落とし穴もあることをレポートしたい。
YAMAPの活動日記からの甘い判断
2016年9月の城ノ越山遭難事故の原因は僕の「低山、裏山をなめて1時間でピストンできる」という安易な気持ちが遭難事故へとつながるのだが。
その安易な気持ちのルートはYAMAP活動日記を読んだことによるのである。
香椎に住むらしい父親と小学生低学年が夕方、散歩がてらに城ノ越山を歩いたという記事を読んだのである。
この親子の活動日記に責任はない!
それを読んだ僕のとらえかたが甘かった、甘すぎたというしかないのだ。
このようにSNSの最新情報といえど、それは一般庶民が書いた素人の活動日記に過ぎないのである。
(僕のこのブログも素人の低山歩きに対する経験を書いているにすぎないから、信じてはいけない)
他人の活動日記を参考にするのはとてもいいことだし、より安全のためには有効な事前予習である。
しかし、その山が「はじめての山」であるならば、やはり万全な計画と基本的な用具の準備が必要である。
二度目の山でも季節が違ったり、台風や大雨豪雨後だったら「はじめての山」と考えて歩いたほうが賢明である。
油断はすでに遭難事故への序奏だと考えたほうがいい。
龍王山での道迷いの体験
まだ読図ができない時のことだ。
YAMAP地図に赤線で主なルートが書かれ始めたことを知り、やや冒険的にYAMAPの赤線を信じて下山したときのことである。
動機は秩父で遭難して14日間後に救助された多田さんの「下山は別の道で・・・」とまったく同じだった。
龍王山は八木山峠から歩く名山で案内板などもあり比較的登山者が道迷いしない程度の標識がある山道である。
その時の僕の気持ちは、「決まった道ばかりじゃおもしろくない」「往路とは違う道で下山してみよう」だった。
YAMAPの赤線を進むんだから道迷いはない!と思ってあるいてみたら、藪に迷い込み、道なんてまったくないのである。
それ以後そのYAMAP赤線を歩いていないので、単なる僕のミスだとは思うんだが、大切なことはスマホ、GPS、登山アプリの広まりで携帯で得た情報のみで山を歩くと必ず痛い目にあうということである。
まだ遭難事故を体験していない人は、「自分だけは遭難事故にはあわない」なぜなら「安全で、しかも装備をきちんとしているから」と思っているからである。
大きな事故にならない場合は、日記や記録にもほとんどその時起こったインシデント(事故寸前)については書いていない。
おそらく「楽しかった」ことをより書きたい気持ちが優先するのであろう。
遭難事故も道迷いもあっけないくらいに簡単に起きる。
それは人間の「心」が関係している。
遭難事故は「人災」であると思っていい。