17:04スタート
2016年9月といえば、低山歩きをはじめて1年と9か月。
読図はできないまでも、そこそこに山を歩いてきて少なからず根拠のない自信を抱き始めた頃だった。
裏山とはいえ、初めての山なのに、夕方17時、そして小雨の中、今ならば歩き始めることはまずない。
YAMAPのなかには、当時の活動の1時間が記録されている。
17:04に十三仏登山口からスタートして、30分弱で城ノ越山北峰に到着している。
ここまでは計画通りである。
奥の院十三仏
奥の院十三仏までは道らしき道はあった。
しかし、9月の十三仏は薄暗くて少し気味悪かった記憶がある。
お参りをしたと思う。
日付と時刻が記録される写真を撮っていることもたまたまの偶然である。
すでに薄暗い。
ここで「今日はやめよう」と今なら思うだろうが、2016年の僕は「とにかく城ノ越山頂をめざす!」という気持ちしかなかった。
が、この奥の院十三仏の先がすごかった。
十三仏ルートの激坂
この光景をみたら、普通引き返すだろう!
「小雨」「日暮れ」そのうえ「竹藪」・・・引き返すだろう!普通
しかし、引き返すという考えは少しもわいてこなかった。
このあたりの感覚から、すでに「遭難事故」がはじまっていたのかもしれない。
かつては「十三仏ルート」があって、塩坂コルから南峰につづく道に合流したものと後日わかるのだが、「福岡県無名山301山」にはルートの細かい説明はないし、香椎の親子も簡単に散歩がてらに登った山なのである。
冗談じゃない!
道は倒竹で塞がれているではないか!
前進することをあきらめて、左の急斜面を登ることに決めた。
激坂だった。
必死に登っていったが、戻るときのことは何にも考えていなかった。
今、冷静にふりかえると、あの滑落事故にあってなくても、果たして無事に十三仏の激坂をもどってこれたんだろうか?
甚だ疑問である。
いや自信がない。
今でこそ、はま3さんの道標などがあるから、十三仏激坂と香椎ルートの分岐点があわかるが、2016年9月はまだ道標などなかった。
おそらく、香椎ルートをそのまま歩いていっただろう。
いや、YAMAP地図でなんとか下山してたのだろうか?
わからない・・・(自信がない)
尾根道(香椎ルート)にでる
激坂から尾根道(今はその尾根道が香椎ルートだとわかるのだが)に出たときは、「よし!」と気合を入れたこと記憶している。
黄色い虎ロープのことも記憶している。
「山頂までもうすぐだな」と思ったことも憶えている。
ただ、今歩いている道を戻るのだという意識はなかった。
戻る道に目印テープをつける技など知るよしもなし。
とにかく、ここで重要なことは、初めての山をピストンで登るときは、常に戻るときのことも考えながら歩くということである。
低山歩き1年9か月の僕には、こんな基礎基本的なこともできていなかった。
(つづく)