好きなこといろいろ

万能川柳デラックス100より(2005年発行)

「いろんな私」

Gパンをぬぐとパンツもぬげちゃうの

人間の半分以上年下に

芸能人に会っていないのに好き嫌い

手をどこに置いて寝ようか迷う夜

汚くてもいいよ金ならもらっとく

少し寝るべきかと迷う午前4時

犯人がわからぬうちに寝ちゃうクセ

この部屋はまるで私の心だな

いつだって今が一番若いのよ

初めから禁煙の人はほめられず

予定表楽しむとだけ書いてあり

生きているこのささやかですごいこと

鼻歌が止まる体重計の上

断食にどうして金を払うのか

「ただの」とも「万病の」ともいわれる風邪

めがねふきそのあと鼻をかむテイッシュ

この年で胸キュンしたら心臓病

適当って奥が深いと思わない?

捨てようと試すと書けるボールペン

いくつまで生きたら人間うれしいか

慣れるとは細かいことを捨てること

凝りすぎて思い出せないパスワード

散歩でも近道通るなんでだろ

抱きしめる俺には他に能がない

こけそうになったのかくす拾うふり

年がいもなくの年っていくつから

60で歯の磨き方直される

戦争は団体行動だからイヤ

思考力鈍ってついた決断力

少しだけおかしくなって楽になり

読めぬ字はない取説が分からない

頭より性格がよい人がいい

あの人」

キスするくせにじか箸嫌う彼

別々の過去に浸りつつ聴くユーミン

宇宙よりきもの心のほうが未知

平凡な顔ってどんな顔だろう

失敗を泣く人笑いに変える人

正直に何でも話す彼がイヤ

山頭火好きで商売には向かず

このトシでタイプのレジにオレは行く

うす味をやさしい味とほめた彼

涙よりお願いだからハナふいて

「別に」って顔してネコが寄ってくる

いい人というがあんたに甘いだけ

好きだった彼ほど憎い者はない

年上の女性が好きなやつも古希

猫に言うようにやさしく言ってくれ

四十路でもわが社じゃウチの女の子

ヤメテヨと誘っているのに気づかない

拾う神あるなと思う披露宴

お巡りさん自転車押してのどかな日

生きていく資源をゴミに変えながら

先客の香りかすかにATM

賢くて顔もいいのになぜかイヤ

高いとこ苦手な母が星となる

君がいて僕がいなくて彼がいた

ラーメンをアートと店主言い出した

神様の指示か賽銭箱に鍵

いい席を取っておくぜと逝った友

言うまでもなくと言いつつ言うんだね

危険日がもし男にもあったなら

太ったね太った人に先言われ

太ったねやせた時にも気づいてよ

賽銭を何に使うか神に聞く

チャイムなりドアを開けたらお月さま

重く受け止めていますと軽く言う

ダンゴ虫おまえって今しあわせか

この蚊にも至福の時ってあるのかな

この治療あなた受けるか医者に聞く

飼い主のしつけの本はありますか

坊さんのライブのようなお葬式

 

「彼ら」

ほしいのは道路じゃなくて工事だな

名を知って愛おしさ増した草や花

苦情処理何度まけても話し中

このごろはプールでみんな歩いてる

泥棒は居ないと自慢する離島

正解はコマーシャルの前に言え

二人ともいい人なのに仲悪く

オバサンら勝手に席をくっつける

なぜそんな癒されたがる日本人

いわれ聞くまでは単なる古い寺

キーボード誰が配列決めたんだ

カエルにもバッタにもいるお殿様

ぶらんこを見ている人を見ている人

境内の子どもの影にあるしっぽ

たばこやめたばこくさいと騒ぐ人

脳よりも胸に栄養いったかな

1人ではなれないのよね独裁者

あら上手ついでにこれもやっといて

人間に見つかっちゃって新種なり

味よりも色紙自慢のラーメン屋

楽をしてもうけるために苦労する

温泉につかり目立たぬ貧富の差

政治家もチンパンジーも握手好き

焼却場反対するがゴミは出す

お互いの顔見て笑う握りめし

出産に至る行為は盛んだが

熊がいた熊にしてみりゃ人がいた

人生が決まるはずないABO

 

万能川柳を読みだしてからかなりの時間が流れた。10年は越えている。仲畑貴志編集の万能川柳は好きでほとんどを久山図書館で読んだ。買ったのは1冊だけである。これだけ読んでいるが、自分では一句も作れない。作ったことがない。楽器演奏がまったくできない人がジャズを聴いてる、ジャズを愛しているのと同じである。川柳はジャズである。読む自分の年令なのか、読む時期、季節なのかわからないが、お気に入りの川柳が違ってくるのがオモシロイ。今回のでは「ぶらんこを見ている人を見ている人」「境内の子どもの影にあるしっぽ」この二句に圧倒されるような何かを感じた。

 

さまざまな「何か」

バター塗る方が表になる食パン

乗らぬときバスは次々やってくる

名もないじゃなくて知らない草と花

消印もないのに届くラブレター

個性ってうまくいかないときにでる

車道だけ便利になっていく道路

煩悩って何の役にも立たないの?

片付けるのが究極のインテリア

同じ飯なのに握れば違う味

もらうならお金あげるなら気持ち

スッポンポン何語だろうか辞書にない

スペシャルというが時間が長いだけ

挽きたてと書いてあるけど缶コーヒー

人生に真ん中という齢はない

要領がいいのか風呂で待っている蚊

窓ぎわの人をうらやむ窓の外

すぐそばに蛇口があって枯れた花

他の国にもあるんだろうか回覧板

歯ブラシの進化で虫歯減ったのか

ゲタ箱とブタ箱にないゲタとブタ

死以外になし絶対と平等は

いつ誰がどこで着るのかファッションショー

心配と笑いが交差する鼻血

パソコンが立ち上がったらすごいなあ

たたむまでやってくれんか全自動

人生に勝つっていったいどんなこと

横文字を使わず一日過ごせます?

鶴を折るだけで平和が来るだろうか

心って景色も変えてしまうのね

ごはん粒たった一つでまにけ顔

平和ボケいったいどこが悪いのか

古いって知ってる君も古いよね

痩せるの字健康的じゃないけれど

人間がいなくなっても地球です

そのうちにセルフの斎条できるかも

多いほどよいのだろうか情報は

 

とりあえず2023年に読んで選んだ万能川柳残そうとして。また数年後読んだら何か違って読めてくるだろう。時代も変わっているだろう。

 

 

 

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コックン

2014年12月(当時59歳)に近場の低山歩きを始めた。 これから山歩き(登山)をはじめようと思っている方や福岡県内の里山や無名山に興味関心がある方々向けて情報発信したいと考えている。 福岡県の低山・里山・無名山以外にも駅舎や神社、コミュニティーバスなども好きである。

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