低山歩きを始める以前の話である。
バス釣りをしていて滑って野池に落ちておぼれそうになった時の話である。
入れ食い
釣り用語である。
仕掛け(ルアー)を入れるとすぐに 魚 が 食い つき、次々と魚が釣れることをいう。
その日がまさにそれだった。
シャロークランクというルアーの赤を投げると確実にバスが食ってきた。
ほかのルアーやほかの色のルアーを投げても食わないのである。
こういう体験をバス釣りをしていたら何度か体験する。
十数年間のバス釣り遊びだったが、野池、ダム湖、川など福岡県中をまわっている。
名もなき池などの遠方から来た人に、「どうやってこの池を見つけたの?」と聞いたら、「ナビで見つけました」と答えが返ってきた。
当時の僕には「ナビ」という言葉がなんとなくはわかるが具体的にはわかっていない時代だった。
携帯電話もガラケイ時代で釣ったバスを写真に撮るくらいで風景写真などは少ない。
それでも当時書いていた楽天ブログ「埋もれ火のアンソロジー」には当時の様子を載せていたらしく、今回の三軒屋池を検索したら、僕が撮った写真が出てきた(笑)
三軒屋池
バス釣りした期間は1998年夏から2010年くらいまでだった。
何年の出来事かは忘れたが11月だった。
寒くなりはじめバスの活性がなくなりかける時期で、あまり数釣り(たくさん釣れる)ができなくなる日の出来事だった。
あまりにも釣れたので油断をしたのだろう。
長靴をはいていたが護岸を滑り、池に落ちてしまったんだ。
場所はここ↓である。
最初は太ももあたりまで入り、「あ、やばいやばい」程度の感覚だった。
護岸を登ろうとしたんだが、そこから驚くように下へ下へ落ちてゆく体験をした。
高級なロッド(釣り竿)は手離すわけにはいかないから、右手一本で護岸を上がろうとしていたら。
長靴に入った水の重さのせいかどんどん沈んでいくわけである。
あっという間に、ずるずると胸あたりまで沈んでいった。
「やばい!」と思い、ロッドを投げ捨て、両手で必死に護岸を切れ目に手を置き上がろうとするが上がらないのいだ。
正直焦った。
肩まではつからなかったが、ほぼ全身ずぶ濡れでなんとか助かった。
こどもがよく浅い水場で溺れて亡くなるニュースを聞いて知ってはいたが、この体験をしてみたらよくわかった。
ユニクロで着替えさせてもらう
ずぶ濡れになった姿では最早釣りする気分にはなれなかった。
近くにユニクロがあるのを知っていたから飛び込んで、下着、靴下、ズボン、シャツを全部買った。
ところが。
財布が濡れて紙幣は使える状態ではなかった。
クレジットカードがあったから何とか買い物をすることができた。
店員さんに「池に落ちてずぶ濡れなのでトイレで着替えさせてもらえませんか?」と言うと
「更衣室を使われていいですよ」と言ってもらい図々しく更衣室で着替えさせてもらった。
山歩きでは滑落は体験していても、溺れるは体験していない。
しかし、今でも池があるとブラックバスの気配を感じようとする自分がいる。