好きなこといろいろ

駄句も句なり③

2024年7月「虹」「昼寝」「合歓の花」「炎天」「夏の灯」「心太」

大声で虹よ虹よと母の声

由紀子さん笑ったままで虹渡る

押し入れに隠れたままの三尺寝

座布団の二つ折り枕き昼寝かな

助手席の妻の寝顔や三尺寝

せせらぎに耳を澄ますや合歓の花

畦草を刈る音朝な朝なかな

さびれても津和野は津和野合歓の花

山荒れて合歓には天国咲き誇る

炎天や路面電車が橋渡る

夏灯海のはじまり耳すます

いつの世もおかわりはないところてん

徒然なか祖母にねだりしところてん

2024年8月「初嵐」「秋の蝉」「残暑」「花火」「芙蓉」「蜻蛉」

藁ぶきをすべりおちゆくはつあらし

簾落ち馬穴ころがる初嵐

初嵐雨戸穴より月明り

珈琲のホットにかはる今朝の秋

手紙より葉書が似合ふ残暑かな

仲秋や櫓太鼓の上に月

いつか死ぬいずれ死ぬ初嵐

いつか逝ぬ秋の初風やむ頃に

じたばたともがいて生きて初嵐

秋の蝉蟻ら囲みて弔わむ

秋蝉やダイジョーブダイジョーブと鳴く

畳干す日曜の朝処暑の家

稲藁と火薬を囲む黒い夜

藁先の黒き火薬が魅せる夢

大輪の花火に拍手喝采す

つぼみからぼたんまつばのはかなさや

終日や幸ある此処に咲く芙蓉

しとやかに揺られし芙蓉車窓より

狛犬の尻尾の先に鬼やんま

水に脚つけるつけない鬼やんま

2024年9月「夜長」「萩」「曼殊沙華」「台風」「虫」

満州の自慢話や夜長妻

雀卓を囲む夜長の面子ども

台所灯りの下に夜長妻

母想ふ路傍の萩に歩み寄る

天井じゃ萩咲いたかと父に問ふ

さよならがよく似合ふ萩の花かな

うつむきがよく似合ふかな萩の花

九州へ帰らむ友を送る萩

彼岸花故郷の思ひ出ばかりなり

雨や雨萎れるまでが曼殊沙華

父母のにはかに恋し曼殊沙華

墓仕舞おへし跡地にのこる虫

野分過ぎ遠方からの友来る

受話器手に虫鳴く夜の長話

ポンで鳴きカンチーで鳴く蟲集く

円空の木彫り仏を拝む虫

虫喰いの円空仏や虫鳴ける

円空仏拝むか虫の動かざる

 

 

 

 

 

 

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コックン

2014年12月(当時59歳)に近場の低山歩きを始めた。 これから山歩き(登山)をはじめようと思っている方や福岡県内の里山や無名山に興味関心がある方々向けて情報発信したいと考えている。 福岡県の低山・里山・無名山以外にも駅舎や神社、コミュニティーバスなども好きである。

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