1月25日
2023年1月25日の朝、これを記す。昨日から十年に一度の大寒波が九州を襲っている。確かに昨日は真昼から吹雪はじめて、午後には車の窓に氷柱ができる寒さだった。「1月25日」という日には不思議なことに大雪の思い出がある。
1989年の1月25日
話は1989年までに遡る。小学六年生の担任をしていた。朝起きると雪が積もっていた。今だったら平気で年休を取るのだが、当時34才の僕はとにかく車での通勤はやめてバスか電車で行こうと家を出た。ところが、バスも電車も動いてなかった。次には当然タクシーをさがした。今のように携帯でどこからでもタクシーが呼べる時代ではない。タクシーと出会うことを願いながら大通りを歩いた。今のように低山歩きをしていたわけではなく、長距離を歩くこともなかった。長靴でとにかく博多区吉塚をめざした。福岡空港が近くなってもタクシーとは出会えず、体は冷え切っていたし、長靴のなかに雪が入ってきて靴下が濡れて冷たかった。小学校に着いたのは11時前だった。運動場ではクラスの子どもたちが雪合戦をして遊んでいた。「山田先生!来たと?休むって思いよった」チカラが雪の塊を片手で持ちながら近づいてきた。ヤギやミツヒロやショウゴもチカラのうしろから近づいてきた。
春に向けて
この時期になると六年生の担任は忙しくなる。いや、ほかの学年も忙しいんだが、忙しさのレベルが違う。卒業に関する様々の準備のため六年生担任の仕事は半端なく多くなるのだ。「卒業式」「卒業文集」「アルバム」「お別れ会」「中学校への資料提出」「指導要領」「通知表(あゆみ)」等。後半、ベテランになるにつれて12月から卒業の準備を始めていた。毎朝6時くらいに出勤して8時までの2時間卒業関係書類を片付ける術をおぼえた。で、2月からは全力で卒業にのぞめるようにしていた。ま、よくもあんな不毛な仕事を30年間もやってきたものだと今は思う。