歌集「滑走路」
萩原慎一郎という若者が俵万智の「サラダ記念日」を読み、インスパイアされて書き始めたんだと、
読み始めた瞬間に感じた。
いろいろと書いてあるのだ 看護師のあなたの腕はメモ帳なのだ
矢沢宰を想起するような歌が最初の歌だった。
読み進んでいくうちに気分が暗くなっていった。
半分くらい読んだところで歌集を閉じてしまった。
短歌というものは
短歌というものは客観的なものより主観的なものがいい。
しかし、暗さのなかに明るさやユーモアがないと重さだけが残ってしまう。
1987年発行された「サラダ記念日」はやはり画期的な歌集だったと
「滑走路」を読むことで再認識した。
最後まで「滑走路」を読んだが、余韻は残らなかった。
この余韻というものは歌集にはすごく大事。
「サラダ記念日」以降の俵万智の歌集も余韻は残らなかった。
そういう意味でも「サラダ記念日」はやはり与謝野晶子以来の歌集を残したのかもしれない。
せめて一首でも
せめて一首でも感じる歌をさがして頁をめくるのだが無理だった。
32歳で亡くなった萩原慎一郎の若さに自分がついていけてないだけかもしれない。
萩原は僕の長男と同じ年に生まれた人なんだ。
僕が長男の感覚についていけないのと似ているのかもしれない。
詩歌本やたらと置いてある増田書店の増田さんに会いたし
せめて一首をあげるとしたら、今の僕はこれだだった。
そして僕も詩歌にあこがれていることを
歌集「滑走路」を読みながら感じていた。
2020年に映画化されているらしい。
映画を観てみようと思う。